フランスのギャンブル自由化、通信事業にも意外な商機
ワイン、ヴァカンス、サッカー、恋愛、カフェでの議論---。フランス人の好きなものと言えば、これらが頭に浮かぶ。だが、ギャンブルが大好きなことは意外と知られていない。フランス国内の湖畔やビーチリゾートなどの約200カ所にカジノがあり、常に盛況だ。凱旋門賞などに代表される競馬は国民的アトラクションといっても過言ではない。また、馬券やLOTO、日本のナンバーズに相当する宝くじは、全国津々浦々にあるカフェやタバ(煙草屋)で気軽に購入できる。そのため、一日中カフェでお酒を飲みながら赤ら顔でギャンブルにはまる人が増え、社会問題化している。そのような中、2010年4月、オンラインギャンブル市場開放法が国会で成立し、サッカーW杯の開催に合わせて6月に施行された。従来フランスでは、オンラインによるギャンブル事業は国営のPMU(競馬)とフランセーズ・デ・ジュ(FDJ:スポーツ振興くじや宝くじ)だけに許可されていた。本法案の施行により、オンラインギャンブル規制局(ARJEL)の認可を得た事業者は、Webサイトでスポーツ、競馬、ポーカーのオンラインギャンブルを提供できるようになった。既に10社以上の事業者が認可を取得し、事業を開始している。オンラインギャンブル人口は、現在の推定100万人から早期に400万人に拡大するとの試算もある。6500万人というフランスの人口を考えると、これは驚くべき数字だ。今年の市場規模は、2009年の約2倍となる20億ユーロに急拡大するとみられている。
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